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問題を抱える子どもたち

キャンプ
〜設営は自由な発想で〜

著:ガキ大将・スクール 黛 徳男
上毛新聞「オピニオン21」(2005年5月10日)掲載

二〇〇一年、本県で開催された国民文化祭の精神を継承するため設けられた「ぐんま文化の日」事業の一環として、第一回「風と砂と星のキャンプ」が行われたのは、翌年十一月のことだった。

県庁舎前の県民広場にテントを張り、子供たちが二泊三日のキャンプを行いながら、さまざまな体験活動や表現活動を行うというこの事業には、県内各地から千六百人を超える応募があり、その中から百人が抽選で選ばれて参加した。百人の小学生たちは、一班七―八人のグループに分かれ、各班に県内の高校生たちがサポート役として二人ずつ付き、子供たちとキャンプ生活を共にした。

〇三年には、反響の大きさを踏まえて三回実施、また昨年は二泊三日のキャンプに加え、県庁をベースに県内各地に出かけて行って、その地域ならではの体験活動をする「風と砂と星の学校」も開催された。

「ぐんま文化会議」が主催するこれらのキャンプ活動は、県庁でキャンプするという意外性や、県庁でのキャンプなら安心して参加できるといったことが支持されたためか、毎回定員の十倍を超える応募がある。参加者やその保護者からは再参加の希望や、キャンプに参加したことで見えてきたわが子の成長ぶりなどが数多く寄せられている。

自然体験活動が子供たちに大きな成長を促すことは明らかになっているが、純粋な「自然体験活動」ではない県庁でのキャンプで、なぜ子供たちは大きく成長するのだろうか。

県庁でのキャンプでは、子供たちと高校生たちの暗中模索的なキャンプ生活、たき火でのご飯作り、探険ハイク、銭湯体験、ウォータースライダー、ネイチャークラフトやワイヤーアート、県庁探索などの活動を行うが、それらのアクティビティー自体が子供たちの心を変容させているわけではない。

県庁でのキャンプという意外性や非日常性、お姉さんやお兄さん的な高校生との密着した生活、グループ全体が兄弟のような雰囲気、その仲間同士での体験活動、それらすべてが複合的に作用して子供たちの心に「温かな、心地よい感性」がつくり出される。それが心の変容につながっていくのである。

実は、多くの大人たちが陥りやすい錯覚や過ちがここにある。キャンプや自然体験は山の中や、できるだけ不便な環境の中で行うべきだ、あるいはトイレは穴を掘って作るものだとか、ドラム缶風呂に入るのがキャンプの醍だい醐ご味みだ、という大人もいる。また、飯ごう飯とカレーがキャンプでの食事なんだと思い込んでいる人もいる。

これらは正論のようにも聞こえるが、大変残念なことに、そこには子供たちに対する感性豊かな思いや視点を見ることはできない。本当に大切なのは、場所やアクティビティーではない。キャンプをコーディネートする側の「感性」と「豊かで自由な発想」こそが最も重要なのである。

問題を抱える子どもたち

問題を抱える子どもたち
■問題を抱える子どもたち 1
■問題を抱える子どもたち 2
■発達への支援を要する子供(小児心療内科臨床から)
オピニオン21
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